アアルトのアトリエと自邸
旅もちょうど折り返し地点。
後半スケジュールを組み直す
アアルトの自邸とアトリエの休館日を考えると、
どうやら今日に行っておかないと厳しそうであることがわかり、
要予約のところをなんとかなるやろ精神で直接行ってみた。
中央駅附近からトラム4番で北へ約20分程度。
まずはアトリエから。
かなりの高級住宅地のようだ。モダン住宅が立ち並ぶ
あまり迷わずにガイドツアースタート時間より少し前に到着。
受付らしき女性に聞くとツアーには問題なく参加できるとのこと。
スタートは午前11時半。少し時間がある。外周をぐるりと廻ってみる。
大きな円弧で中庭を囲むまっ白い外壁が、
これまで見てきたアアルト建築とは少し違った印象をあたえる。
10名ほど集まってから11時半に案内スタート。半分以上が日本人である。
中に、先日であった日本人大学生の一人を発見。
この旅でなんと二回目の拝観とのこと。
なんと勉強熱心なことか・・・。
このスタジオは1963年に完成。アアルト65歳。
常時10人のアーキテクトが働いていたようだ。
文化の家、フィンランディアホールと
次々に巨大プロジェクトを手がけていた時期としては、
思っていたよりこじんまりとしたまさにアトリエ。
天井が高く、ハイサイドライトから気持ちよく光が入ってきそうだ。(あいにく、この日も雨だった・・・)
トップライトからの自然光で正確な判断を下すプレゼンルーム。
現在では既に懐かしさを覚える図面ケースの収納棚。
アトリエながら、どこか住宅のような暖かさを持った内部空間に、
非住宅建築にもどこか家らしさが備わっている設計の極意をみたような気がした。
約30分強の常駐スタッフによる説明が終わると残りの20分程度は自由行動&写真タイム
アトリエから自宅まで徒歩で5分弱。
ツアースタート時間まで40分程あるので軽く食事をとることにする。
近くのカフェで、この度何度目かのシナモンロールとカフェオレを食す。
フィンランドのシナモンロールはとにかく巨大でシナモンが濃い。
小雨が続く中、自邸見学。
見学参加者はほぼ先ほどのアトリエで一緒だった面々。
マイレ夫妻(ポリ/マイレア邸クライアント)がこのアアルトの自邸を見て気に入り、このような住宅にして欲しいと頼まれたそうだ。
一言で言えば、マイレア邸は豪邸である。
ここ、アアルトの自邸においてはなんていうか、用途は違えどセイナッツァロの町役場と同じような居心地のよさを感じた。あまり広すぎない中庭をすっぽりと眺められるリビングにセンスよく配置されたインテリアが、ついつい長居をしてしまいそうなあったかさだった。
ほぼ、アアルト設計であろうインテリア。
そりゃしっくりくるわけだね。
アアルトの第一婦人も建築家であったという。
特に住宅では彼女の考え方が色濃く出ているようだ。
あまり、女性建築家とか女性だからキッチン廻りとか収納の設計が得意という包みは好きではないが、使い勝手のアイディアがなるほどなというところが多々あった。
アアルトの懇親の作2邸を後にし、午後からは、ユハ・レイヴィスカの作品である図書館と児童館2件、アアルトが手がけた文化の家(現在は音楽ホールとして使用されている)を廻った。
残念ながらユハの図書館は閉館中(なんせ時間が遅かった・・・。)
児童館は使用中でカフェコーナーだけの見学となった。
ユハの建築は主に教会建築を見て廻るつもりでいたのだが、初日のキアズマで購入したフィンランド建築本に多数掲載されていたので廻ることが出来た。
アアルトの文化の家は、通常見学は出来ないそうで、
たまたまこの日に音楽祭がありそれに紛れ込んで中を見させてもらった。
アアルト建築のすごいところは半世紀たってもなおこうやって現役で使われているところだと思う。
(さ)